decobisu記

適当な日々のやっていき

シリコンバレーにいってきた(後半)

前半からの続きです。といってもう2ヶ月も放置でした。もうしわけあばばば
記事にまとめるのは難しいですね。


四日目「カンファレンス!」

ついにカンファレンス当日。
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会場のサンノゼ大学まで車で移動。この日も快晴で空は青く澄みわたっていました。サンノゼの街は宿を取っているマウンテンビューとはまた違った雰囲気。
会場に入るとすでに多くの人がいました。受付を済ませ、事前に日本でやり取りしてた人やこっちに来てから一緒に訪問してきた人達と合流する。


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カンファレンス最初のkeynoteは金島さんと前日にお会いした大澤さんです。
カンファレンス当日のプログラムはここに載っています。
3/12(土)カンファレンス当日のご案内 - JTPA


「ここは世界で一番ベンチャーをやりやすい場所。一流のひのき舞台」

シリコンバレーは熱狂的な情熱と文化の上に、キャリア育成や投資・起業モデルが確立されている。日本は新しいことが法的にしにくいし、クリエイティブな環境は少ないし自分で一から作らないといけない。
ここは失敗するにも成功するにも君たちのような若い世代には良い場所。
「今日、日本から来られてる方はまたここに戻って来れるように。お待ちしています」

こういった「環境」の話は、ここまでの旅の中で確かに感じたことで、聞きながら頷くように納得していました。シリコンバレーのスピリット、という話の中で有名なスティーブ・ジョブズスタンフォード大の卒業式のスピーチの中での「stay hungry stay foolish」という言葉が取りあげられていました。
旅の中で見聞きしたそうあるべしという価値観。ここではそういった環境が「言われてみればそうだよね」という当たり前として存在しています。


次のセッションは留学から就職ということで、こっちの大学に入ってから就職した方々によるパネルディスカッション。
取り合えずいきたいと思ったから、日本に飽きてきたので、キャリアを求めて留学した、等々留学の理由はそれぞれ。
こちらで就職する上で重要だとよく言われるビザの問題は、留学生だと取るのはすごく簡単で、専門学位(master等)を取るとかなり優遇されるそうです。
語学力や留学資金などの問題もありますが、こっちに来て気づいた事の話の中での「やりたい事をすればいいと思う」というパネリストの半谷さんの言葉が印象深く残っています。


次は日本で就職してからシリコンバレーに転職という方々。
こちらは日本と違って定年がなく、そもそも年齢や性別などの個人情報を聞かない文化がある。また起業した会社を売ってリタイアし、その後はダラダラというのも実際によくあることでそれを目指す人も多い。
エンジニアとして優秀ならここでは仕事がないということはない。どこでも優秀なエンジニアを求めています。

自分で転職するにはやっぱりビザが問題で、取得支援や企業内にビザ対応専門員がいる所もあるが、パネリストの江島さんはビザとるのに一年半もかかってしまったらしい。
一番確実なのは家族作れば一発でグリーンカードもらえるよ!ということでまず現地で恋人作りましょうという話もありました。向こうの家族に申請してもらうという手です。
そういう事もふくめ、人と人とのコネが大事というのはこっちに来てからとても感じていることですね。

その後は川内さんによるシリコンバレーでのキャリア構築の例についての講演。こっちの手法や就活は日本より合理的でやっぱりコネが大事になる様子。

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最後はテーブルセッションということで各テーブルごとにパネリストの方と話しました。

僕は主にエンジニアの方々に話を聞きにいきました。
どの人もある程度好きかってに働ける環境に満足している様子でした。技術力については分野にもよるが日本で社内で中より上の技術者ならこちらでも大丈夫ということでそれほど技術力に差はないらしい。重要なのは「この人と働きたいか?」ということ。


懇親会まで時間が空いたので懇親会周辺をぶらぶら。
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サンノゼ中心部はおされな街並みです。かっこいい路面電車が走り、オフィスや住宅ビルがその周りにあります。


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懇親会では終始みんなすげーなぁちくしょうといった感情を抱えながら色んな参加者の人達の話を聞きました。
こっちで世界のトップを走る人や、そこに加わろうとする人、すでに行動を開始している情熱たっぷりな優秀な人達。
JTPAのひろしまさんの話の中で「日本はもう駄目だ」と言う話が出ました。人材の流動性や将来性など、もういいからこっちにこいというばかりの批判。
そう言って嘆く人もいれば、楽しそうにただ技術について話す人、新しいビジネスについて熱く語る人、確かにここには次の新しい未来を作ろうと考える人達が集まっている。
僕はどうなんだろうか?まだ自分の未来は見えない。


飲んで食べて話してやっぱりもやもやとしていましたが、目的だった約束だけはしてきた。「またここに来ます。次は土産を持って」


五日目「悩みの向こう側」

この日は朝から渡辺千夏さんの朝カフェにご一緒出来るということで行きました。
お話の中で、昨日の日本はもう駄目だーという話になりました。
「こっちにも日本と比較して良い点も悪い点もいっぱいあるんだけど、どこかゆずれないものを持ってる」
日本は細かい所ですばらしいものが沢山あるけど、今回の災害や就業、政治などの上でリスクが大きい。その上でこっちに住む選択をされたそうです。
「いまこっちに来るならデザイナーさんはオススメ!」だそうでUXが分かるデザイナーはどこも欲しくて引く手数多な状況。


午後は金島さんの自宅を訪問させて頂きました。
小高い山の中、大きな家がそこにありました。
金島さんに案内していただき、自宅のベランダへ。スタンフォードの丘一面を見渡せる景観がありました。

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丘一面スタンフォードの敷地らしいのですが建物はわざと建てずにいるそうです。丘には牛がいて放牧されていました。
この時id:keikuboさんとお話をしてちょうどfluxflexの話を聞きました。京都で会ってたid:sowawaさんがその後シリコンバレーで関わっていたりといった縁も会ったり。

まったりとした空気の中での雑談会。かわいい犬さん。
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色々しゃべっている内に梅田望夫さんが来られました。雨が降ってきたので中に入ってテーブルトークへ。
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かなり疲れていてあまり議論に参加できず駄目な感じだったけど率直に今の自分の悩みを聞いてもらいました。
僕は色んなことに興味を持つんですがどれも途中で終わっていてどうしたものかみたいなすごい個人的な話なんですが、それに対して梅田さんから
「それが君の本質なんじゃないかな」
という言葉をいただきました。思考が変わる瞬間。気持ちは少し落ち着きました。
去り際に「あんまり軽くなりすぎないほうがいいと思うよw」という感じで一本釘をさしていただきながらも、この時の話は色々と自分の心にさくっと収まりました。


金島さん宅を出たあとは温泉がある!という情報の元、温泉に向かいましたが行った時にはすでに閉鎖されていたらしく残念な感じでした。

帰るとスタッフから宿の部屋を良い部屋に変えてくれるという話に。災害で大変な今、少しでも良いサービスを受けて欲しいとのこと。ありがたいです。
原発や地震のニュースはCNNなどでも毎日放送されていてどの訪問先でも心配していただきました。
まだ旅は続きます。


六日目「世界を変える場所」

心体共に疲労が溜まってきましたが、ワクワクするイベントはまだ続きます。

午前中はIDEOを訪問しました。

発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法

発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法


行く前にこの本をちらちら読んではいたんですが、そのままの楽しげなオフィスでした。


仕事場は撮影NGということでエントランスだけ。かっちょいいですね。
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IDEOは色んな分野のスペシャリストがそれこそ世界を変えるデザインを生み出しています。空中に吊るされた自転車、車一台まるごと置いてあったり、カラフルで玩具や小物が散らばるオフィス。子供の頃、壊れたおもちゃをバラしてはモーターやギア部分だけ外して工具箱になんでもかんでも詰め込んでしてたことを思い出しました。
オフィスをぐるっと回る途中で、朝食をとっている人がいたんですが、おもむろにカップやグラスを叩いて♪〜と楽しげに演奏を始める所を見ました。
ティンティンとリズムを刻むに合わせて鼻歌混じりにリズムに乗りだす周りの人達。
おもわずプフゥと吹き出して笑う僕
そういう会社が、こういうノリが、ここにはあるんだ、なんて楽しそうなんだろうと。
カラフルなデスクや小物がいっぱいの工房を案内してもらいながら、気持ちはずっと楽しさでいっぱいでした。
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今回訪問した企業で一番楽しさを感じたのはIDEOだったと思います。


次はあのGoogle本社へ。
セグウェイで軽快に移動する警備員のおじさんに呼び止められながら、ゲスト用の受付をすませる。
広い敷地の中、自由な文化を感じる巨大企業です。
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敷地内の案内はカラフルなGoogle-bikeで移動しながらという楽しい感じに。
自転車はどこでも自由に乗り捨てたりして良いらしいです。それハングオンだ!
ミツバチ研究者(?)として個人的に見なければならないと思っていたHoneycombのオブジェもありました。
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色的にセイヨウミツバチではないですね。オオミツバチかハナバチっぽい。


昼食をご一緒にという形だったので社食を頂きました。
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Googleランチは食べ放題な上にメニューが豊富であっちで食べた中でもおいしかったです。
沢山の人が自由に食べたり話したり遊んだり、こういった自由な環境の中と20%ルールという仕組みが沢山のプロジェクトを生みだしています。
日本でも毎年開催されているGoogle Developer Dayも元はそのルールから生まれたそうです。


次はFacebookに訪問しました。
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Facebookはセキュリティが強く、NDAにも署名が必要だったので詳細は書けないです。
オフィスはギーク!という感じで、会議室にいた生のザッカーバーグCEOがいて手を振ってくれたりという体験も。イケメンでした。
エンジニアや言語スタッフの方と話をして、サービスの方向性や開発について聞きました。


夜はこっちの料理はどうなんだと言うことで、マウンテンビューのラーメン屋へいきました。
味は…普通のおいしさですw
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この日、宿に帰ると宿のスタッフからのメッセージカードが日本食と共に部屋に置いてありました。
「ともだち」の言葉と嬉しいメッセージ、スタッフのサインも。
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すばらしいサービスに感動しながらも、やはり日本の地震の事はこの旅の中で気になって仕方なかったことを思い出しました。

帰国していく人達。同じ宿のメンバーの中で「この地震と原発事故の中、帰れるのか?帰ってよいものか?」という意見が出ていました。
関西方面は平常時ということで、僕は帰ることを考えていました。自分が生まれ育った場所に帰りたいという気持ちは、地震をアメリカから見ていて余計に強く思ったことかもしれません。


七日目「最後の夜」

こっちにきてもう一週間。濃厚な日々も僅かです。

何故かちゃっかりと別の社員の方とアポをとっていて二日連続のGoogle訪問。
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昨日は昼食と外観だけでしたが、この日はオフィス内をぐるりと案内していただきました。
エントランスにはGoogle Earthの大画面シミュレータがあり、筋斗雲で高速に飛んでるみたいな気分になれます。

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社内には個人用の水泳施設!や専用のスポーツジム(G-Fit!)もあり、お菓子やジュースも飲み放題。
また、昼はニ日連続となる社食を頂きました。
アメリカな食風景として大きいハンバーガーがここにもありました。社員の方によると味は濃くて普通に全部食べれないそうで、食べれないと分かりつつも食べたい分だけ食べて残りは捨てるらしい。これがアメリカ式なのかーと。個人的には貧乏性なのでもったいないなと思いました。
Googleの開発手法はデザインドキュメント、ユニットテストソースコードからなり何人もコードレビューを重ねて作っていくそうです。
また新規開発とバグサポートは担当を別にしており、開発のマイルストーンは崩さないようにしているらしい。


その後はApple storeでお土産をあさる。
社内はアポなしの関係で入れなかったのでiPad2をいじりながらひたすら買い物。
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その後はインテルミュージアムにいきました。
有名なAltair 8800 - Wikipedia
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うおー懐かしい!という世代ではないですがシリコンバレーで実物を見るのはとても興奮しますね。
歴史を感じる展示品ですが、ミュージアム自体はさっぱりとした感じでした。
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最後の夜もみんな疲れた体でダラダラと過ごす。
もう終わりかーと思いながらパンパンのバックパックに荷を詰めていく。


帰国日「ただいま、日本」

そして帰国の朝。

宿の人に何かお礼が出来ないかとこっちでその辺のギークに食べてもらおうと思って持ってきていたハッピーターンと伊右衛門のティーパックをプレゼントしました。良い部屋に変えてくれたりとてもお世話になりました。Thank you!


そして帰国。俺は帰るぞォーッ!
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恐る恐る帰って見ると、関西は平常運転でした。ニュースだけはひたすらに地震と原発の話し。
帰り道で食べた立ち食い屋のうどん(300円)がしみるように美味しかったです。

そして

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アメリカは思ったより近く、広かったです。
今回の旅の予算は

  • 航空券-9万
  • 宿泊費-5万
  • カンファレンス-1万
  • その他滞在費、土産等-5万

ということで20万もあればこんな感じに過ごせます。


シリコンバレーでずっと住みたいか?と聞かれたらまだ気乗りはしないです。
ここで働きたいか?と聞かれたら「Yes」と言います。
そんな場所でした。外に出て、震災を見て、日本が恋しくなった僕はまだ日本にいます。
次行く時は、カバンひとつでブラブラしたいです。適当な場所でPCを開いて、周りのギークにでもハッピーターンパインアメを配りながら開発してみたいですね。


帰ったら帰ったで日常に翻弄されながらも生きています。
就活してみたりコミュニティやイベントの運営や企画をしたり、まだまだ自分が知らない世界に首を突っ込んでいってます。でも、自分が思うモノを作りだす所まで出来ておらず、「まずはプロダクトをつくれ。実行しろ」という向こうで学んだ事を活かせずにいます。
やりたいことをどうすれば出来るのかは、少しずつ形は見えてきました。
それは多くの人やモノに関わることで見えてきました。


この旅で支えてくれた皆様。参加者の中ではひどいレベルの僕でしたがなんとか楽しく過ごせたのは皆様のおかげです。
一緒に宿をとり、行動を共にしたチームはたはたの面々には本当にお世話になりました。




世界は思った以上に広く、何より近かったです。
“見えない壁は薄いもんですね”
果てない興味が僕の本質なら、いつまでも知らない世界を知りに、やりたい事をしていきたいと思います。

よろしくお願いします!