decobisu記

適当な日々のやっていき

「説得とヤル気の科学」を読んだ

昨年に買って年末年始で途中まで読んで放置してたけどそういえばと思い出して読んだ。

説得とヤル気の科学 ―最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム

説得とヤル気の科学 ―最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム

この本は心理学的な面で、人をヤル気にさせる要因について7つの項目をあげて説明しており、要因(心理学的には動因というらしい)を知ればそれを利用して頼み事すると受けてもらやすくなるという事を具体的な例をあげて解説している。がっつり心理作用を使っていて人心操作は問題では?という意見については冒頭で詐欺や犯罪行為をさせるのはダメで、良い事とか無害なことなら良いんじゃないのというのが著者の判断基準らしい。相手に対する「理解」と「共感」から相手のやりたい事を変えずに自分がやって欲しい方向へ誘導してというのが趣旨。

内容

要因には以下の7つがあって、それぞれに例ととも使い方が書いてあって本の大半を占めている。

要因一覧

  1. 帰属意識
  2. 習慣
  3. 物語の力
  4. アメとムチ
  5. 本能
  6. 熟達願望
  7. 心の錯覚

具体的にどう使うの?についてはケーススタディを載せてるので参考にしてねという感じ。ケーススタディだけで最後の章を使っていて、大体どの話でも以下の流れを組んでる。

  • 対象の人とか状況に有効そうな動因を見極める
  • 動因を利用するためにストラテジーを決める
  • 各ストラテジーによってこういう効果が出るという話

ストラテジーは要因のなかのポイントを抜き出したTipsみたいなもので、例えば以下のようなものがある。

ストラテジー1 他者との絆を相手に感じさせると、意欲が増す。

このストラテジーは7つの要因毎にあって全部で140個もあるのがすごい。

感想

そもそも買ったきっかけは自分のヤル気がなかったり会社のメンバーとかにどうヤル気を持ってもらうかみたいな悩みがあって、単純に忙しくてやりたい事できてないみたいな感じだったので、気になってた時にちょうど目についたことによる。

面白いと思ったのは各要因のランクの話。 動機付けの効果が大きいものからランク付けすると、以下のようになる。

要因効果ランク

  1. 本能
  2. 物語の力
  3. 心の錯覚
  4. 帰属意識
  5. 熟達願望
  6. 習慣
  7. アメとムチ

確かに言われてみると本能は一番重要に感じる部分であるし、逆にアメとムチは必要かと言われれば特に必要ない。これも人によるけど、効果が高いものが有効そうならそちらをまず使うのが良い。

昔体育会系でやってた経験から「そうは言っても人心操作っぽいよなー」という思いも持ちつつ読んだ。ストラテジーは確かに利用できそうなのが沢山あるけど、今ある課題とか状況に対してどの要因が効果的かを見極めるのが一番大変ではと感じた。相手の状態や環境を把握した上で頼み事できてる人はそうはいないのではないかと思う。

他に面白い話では新しく習慣的にやってほしいことは既存の習慣にくっつけて作った方が心理的な負荷が少ないとか、人は誰でも仮面(ペルソナ)をかぶっていて、ペルソナに反することをいきなり頼むのではなく既存のペルソナを拠り所に関連性あるけどちょっと外れる小さな事をやってもらってヒビをいれていく良いと書いてある。

要因の中の熟達願望というのは、エンジニアに限らず技術の習得やスキルアップについて使えるなと思った。ストラテジーとしては「難しすぎるとヤル気がなくなる」「ある程度自律性がある状況を好む」といった心理的要因があって、課題は適度な難易度に細分化するとか、課題は紹介するけど選択制にするとヤル気下がらないという話は分かりやすくて良かった。 人に教える時も、フィードバックは精緻(せいち)化して与えないと、どこかどうダメでどこが良かったのか相手が分からなくなるという話と、フィードバックと褒め言葉は別に与えないと混乱するなど読んでてなるほどと思う所が多かった。

この本はシバソン効果で読む時間とれたので、帰属意識とか熟達願望とかを刺激された事によってヤル気が出たのではないかと思うと大体合ってる気もする。 しかし人によって有効でなくて逆にヤル気が激落ち!みたいな場合もあるだろうから、タイミングを察するとかの高度な技術が必要ではないかと思った。それはそれでハードル高そう...