decobisu記

適当な日々のやっていき

この先生きのこるために

大学で行われている工学塾という学内セミナー内で読書マラソンを行っており、課題図書が渡されたので読んだ感想を書き殴ってみる。

日本破産を生き残ろう

日本破産を生き残ろう


素直な感想はと言うと…面白い!! 日本の何がどうおかしかったのか、著者自身の体験・記録に基づくある意味ぶっとんだ意見は読んでいてとても刺激的である。


著者の西村肇氏については氏のサイト
Jim Nishimura
を参照。経歴以外にも著作や対談などを一部公開されているのでそちらもおススメ。


最初に“日本破産”と聞いた時は最近の経済危機を思い浮かべた。破産の只中を進む日本故に経済に関する本!という訳ではなく、主な内容は教育・政策に関するもので、著者の論が述べられている。
著者の西村肇氏は“規格外”な先生である。現状の批判から解決策まで全て自分で実行してしまっている。随所で語られている話の中はとてもリアルで共感を覚えることも少なくない。著者は話の中でリアリティという言葉に対してこう示している。

リアリティとは頭の中で考えられることを超えてしまった現実のことです。現実がいつも常識や予想を超える訳ではありませんが、超えた話がリアリティなのです。

著者の半生は激動の中にあり、その中で感じた現実こそリアリティ溢れる出力が出来る糧になるであるのだ。1993年、定年退官時の講演で今後中国は日本を超えるという予言について

荒唐無稽と大笑いされましたが、三年後にはもう笑う人はいなくなりました。

と、こんなこと言えるのは自身の意見に確信を持てる人間だけでしょう。

読んでいて面白いと感じたのは著者の書き方である。現状批判から自ら実行した方法までどれも自信にあふれている、確信していると感じることである。特に現状に対して全く曖昧にすることなく批判的に論じる時に

“それで当然なのです” “ただの思い上がり” “そうでなければならない”

など歯切れの良い言葉での論説をみるに読んでいて心地よくて仕方がない。
教育改革については特に学生生活で同じような不満を覚え、そして今もそうである私にとっては十分に納得出来るものであり、著者自身が自ら“西村式学校”とした取り組み等、リアリティを感じさせるには十分論理的で刺激的だ。

著者は努力の人であると思う。自らは勉強を、教育者としては沢山の試みを自ら実践・研究している所がそう思う所以である。実践した内容の成果と失敗、失敗についても改善策を行い成功させている。それも現体制のままでは駄目だと思うのでやってみる!という事である。
俺がやって事実こうなんだから間違いない!というのは真っ向から受け入れることの出来る意見だと思う。

ではこの先生きのこるにはどうすればいいのだろうか

大衆にはなり切らない人、必要な時に大衆と戦う人です。
こういう人を英語ではマベリック(maverick:離れ牛)と言います。
エリートではなくマベリックを育てるのが21世紀の教育の課題です。

反体制的、という訳ではなく自らの意見を持って行動を起していけるような人間にならなければいけない。
私は著者のように規格外な訳ではないし、まだまだ実力も低レベル。結局離れ牛としてこの先生きのこるのには人それぞれの生き方による。今のままでは難しいという危機感と、どうにかなるだろうという甘えは頭の中にのさばっている事実だ。
色んな人の助けを借りてこの平和な牧場の中ですくすくと生きているのは確か。冬の海も泳いでしまえば身も締まっておいしくなる。どっちにしろ食われる立場なのはどうにか変えたい。リアルな話が出来るようになるにはリアルに体験するのが一番である。温かい居場所が有るうちに冷たい海での泳ぎ方を練習していこうと思う。

しかし著者の西村氏は読むたびにこいつはすげぇッ!と思う人物である。天元突破している感じ。それを形作る論理と経験と実行力があるから言えることですが。


マべリック。烙印のない牛。異端者。…かっこいい